NISAの基本——非課税制度を正しく使い切るための全知識【第0章第4節】

前の節で、「投資は正しくやれば怖くない」というお話をしました。では、その「正しいやり方」を、もっとも有利な条件で始められる仕組みが、この国にはちゃんと用意されています。それが「NISA(ニーサ)」です。結論から申し上げます。これから投資を始める方は、まずNISAから始めてください。これ以上に有利な制度は、現状ほかにありません。この節では、そのNISAの全体像を、一つずつ、できるだけやさしい言葉で解き明かしていきます。難しそうな制度の話に聞こえるかもしれませんが、心配はいりません。要点はとてもシンプルです。

NISAとは、一言でいえば「税金がタダになる箱」です

まず、もっとも大切な一点だけ覚えてください。NISAとは、端的に言えば「この箱の中で投資をすれば、儲けに税金がかからなくなる、特別な箱」のことです。正式には「少額投資非課税制度」という名前ですが、名前は忘れてかまいません。「税金がタダになる箱」——この理解で十分です。

どういうことか、具体的にお話しします。通常、投資で得た利益には、およそ20パーセント(正確には20.315パーセント)の税金がかかります。たとえば、ある投資信託を買って10万円の利益が出たとしても、そのうち約2万円は税金として持っていかれ、手元に残るのは約8万円です。ところが、NISAという箱の中で同じ投資をして10万円の利益が出た場合、税金はゼロ。10万円がまるまる手元に残ります。同じ投資をして、同じだけ儲けても、箱の中でやるか外でやるかで、手取りがこれだけ変わるのです。使わない手はありません。

なぜ国は、わざわざこんな「お得な箱」を用意したのか

「そんなにお得なら、何か裏があるのでは」と疑う方もいらっしゃるでしょう。その慎重さは、投資においてとても大切な姿勢です。ですが、ご安心ください。NISAに怪しい裏はありません。これには、国の側のはっきりとした事情があります。

第2節でお話ししたとおり、これからの時代、年金だけで老後を安心して過ごすのは難しくなっています。国としても、「国民一人ひとりに、自分でも資産を作っておいてほしい」と考えているのです。そこで、「投資のハードルを下げるために、税金を免除するから、ぜひ自分でも備えてください」という趣旨で生まれたのが、このNISAです。私が外資系金融や上場企業の財務の現場にいた頃から、日本人の「貯蓄から投資へ」という流れは大きなテーマでしたが、NISAはまさにその切り札として、国が本気で用意した制度なのです。だからこそ、遠慮なく、堂々と使ってよいものなのです。

「税金がかからない」が、長い目で見るとどれほど大きいか

「2万円の税金が浮くくらい、たいしたことないのでは」と感じた方もいるかもしれません。けれど、これが長い時間と大きな金額になると、その差は驚くほど膨らみます。私がセミナーでよく使う説明があります。投資の利益は、雪だるまのように、利益がさらに利益を生んで増えていきます。これを「複利(ふくり)」と呼びますが、詳しくは次の第5節でお話しします。

ここで知っておいてほしいのは、その雪だるまを転がしていく途中で、毎回20パーセントずつ削り取られるのと、まったく削られずに転がし続けられるのとでは、二十年、三十年という時間の果てに、とてつもない差が生まれるということです。たとえば毎月コツコツ積み立てて、最終的に数百万円の利益が出たとしましょう。課税される口座なら、その利益から数十万円が税金として引かれます。しかしNISAなら、それがまるごと残ります。「たかが20パーセント」が、長期では「されど数十万円、場合によっては百万円以上」になる。これがNISAの本当の威力です。

もう少し具体的に想像してみましょう。仮に、毎月3万円を30年間、平均して年4パーセントで運用できたとします。積み立てた元本は1,080万円ですが、運用によって資産は2,000万円を超える計算になります。つまり、900万円以上の利益が生まれるわけです。この利益に対して、課税口座であれば約20パーセント、つまり180万円以上が税金として引かれます。けれどもNISAの中であれば、この180万円超がまるごとあなたのものになります。車が一台買えるほどの差です。これは特別な才能や幸運の話ではなく、ただ「課税される箱」ではなく「非課税の箱」を選んだだけで生まれる差なのです。制度を知っているかどうかだけで、これだけの違いが出てしまう。だからこそ、私はセミナーでも「まずNISAを使い切ることを考えてください」と繰り返しお伝えしています。

2024年から、NISAは「別物」に進化しました

NISAという言葉自体は、2014年から存在していました。しかし、2024年に制度が大きく作り変えられ、以前とは比べものにならないほど使いやすく、お得になりました。これを「新NISA」と呼ぶこともありますが、今はこれが当たり前のNISAですので、特に区別する必要はありません。

何が変わったのか。ポイントは三つです。一つ目は、非課税で投資できる金額が大幅に増えたこと。二つ目は、税金がかからない期間が「無期限」になったこと。以前は「5年間まで」といった期限がありましたが、それが撤廃され、一生涯ずっと非課税で持ち続けられるようになりました。三つ目は、制度そのものが「恒久化」されたこと。つまり「いつまでに始めないと損」という締め切りがなくなり、いつ始めても、ずっと使える制度になったのです。慌てる必要はなくなりましたが、始めるのが早いほど、非課税の恩恵を長く受けられることは変わりません。

NISAには「二つの枠」があります

ここで一つ、新しい言葉が出てきます。NISAという箱の中は、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という二つの部屋に分かれています。「枠(わく)」というのは、要するに「ここまで投資していいですよ、という上限の部屋」だと考えてください。少しややこしく感じるかもしれませんが、初心者の方が知っておくべきことは、実はそう多くありません。

一つ目の「つみたて投資枠」は、年間120万円まで使えます。これは、国が「長期の資産形成に向いている」と認めた、厳選された投資信託だけを、コツコツ積み立てるための部屋です。初心者にとって、もっとも安心して使えるのがこの枠です。二つ目の「成長投資枠」は、年間240万円まで使えます。こちらは、個別の株式やより幅広い投資信託など、選べる対象が広い部屋です。二つを合わせると、年間で最大360万円まで、非課税で投資できる計算になります。とはいえ、これはあくまで上限です。年間360万円を埋められる人はそう多くありません。自分のペースで、無理なく使えばよいのです。

「部屋が二つあると、なんだか難しそう」と感じた方へ、もう一段かみ砕いておきます。この二つの部屋は、別々に申し込む必要はなく、NISA口座を一つ開けば、最初から両方がついてきます。そして、両方を同時に使うことも、片方だけ使うこともできます。家計に例えるなら、「コツコツ貯金専用の引き出し」と「もう少し自由に使える引き出し」が、一つの金庫の中に最初から備えつけられている、というイメージです。どちらの引き出しを使っても、中で得た利益が非課税になる点は同じです。ですから、最初のうちは「つみたて投資枠という引き出しを使う」とだけ決めておけば、迷うことは何もありません。制度の名前の多さに圧倒される必要は、まったくないのです。

一生で使える上限は「1,800万円」

年間の上限とは別に、もう一つ覚えておきたい数字があります。NISAで一生のうちに非課税で投資できる金額の総額は、合計1,800万円までと決められています。これを「生涯投資枠」と呼びます。なお、このうち「成長投資枠」として使えるのは1,200万円までという内訳になっていますが、初心者の方は、まず「一生で1,800万円までは非課税で投資できる」とざっくり理解しておけば十分です。

1,800万円と聞くと、「そんな大金、とても無理だ」と感じるかもしれません。けれど、これはあくまで一生をかけた上限です。たとえば毎月3万円ずつ積み立てれば、年間36万円。これを五十年続ければ1,800万円に達します。毎月5万円なら三十年です。一度に埋める必要はまったくありません。大切なのは、無理のない金額で、長く続けることです。むしろ、この上限の大きさは、「ほとんどの個人にとっては、一生かけても使い切れないほど十分な非課税の器が用意されている」と前向きに捉えてよいのです。

売っても枠が「復活」する、という大きな利点

新しいNISAの、見落とされがちですが非常に優れた点があります。それは、一度NISAで買ったものを売却すると、その分の枠が翌年に復活し、また使えるようになる、ということです。

たとえば、将来お子さんの教育費や住宅の頭金が必要になり、NISAで運用していたお金の一部を取り崩したとします。以前の制度では、一度使った非課税枠は、売っても戻ってきませんでした。しかし今は、売却した分(買ったときの金額分)の枠が空き、翌年から再びその枠で投資ができます。これは、「NISAは一度入れたら一生引き出せない」という誤解を解いてくれる、とても安心な仕組みです。ライフイベントに合わせて、必要なときに使い、また落ち着いたら積み立てを再開できる。NISAは、けっして窮屈な制度ではないのです。

ただし、一点だけ注意してください。枠が復活するのは「売った翌年」であり、その年のうちにすぐ再利用できるわけではありません。また、復活するのは「買ったときの金額(簿価)」の分です。たとえば100万円で買ったものが150万円に値上がりし、それを売った場合、翌年に復活するのは値上がり後の150万円ではなく、買ったときの100万円分の枠です。少し細かい話に聞こえるかもしれませんが、要するに「売れば、また同じだけ投資し直せる余地が戻ってくる」と理解しておけば十分です。いずれにせよ、長期で持ち続けることを前提にすれば、頻繁に売り買いする必要はありません。この「復活」の仕組みは、いざというときの安心材料として、頭の片隅に置いておく程度でよいのです。

NISAで、結局「何を買えばいい」のか

制度の話が続きましたが、多くの方が一番知りたいのは「で、何を買えばいいの」という点でしょう。ここでも、初心者の方への答えはシンプルです。まずは、つみたて投資枠で、世界中の会社にまとめて分散投資できる「インデックスファンド」と呼ばれる投資信託を、コツコツ積み立てる。これが、もっとも再現性の高い王道です。

第3節でお話しした「分散」を思い出してください。一社の株に賭けるのではなく、世界中の何千という会社にまとめて投資する。それを、ごく低いコストで実現してくれるのがインデックスファンドです。トヨタやユニクロを展開するファーストリテイリング、そしてアメリカの名だたる企業まで、世界中の会社のオーナーに、これ一本で少しずつなれるのです。具体的にどの商品を選ぶか、という話は別の記事に譲りますが、迷ったら「全世界株式」や「米国株式」といった、王道のインデックスファンドから検討するのが、多くの初心者にとって無難な出発点になります。

商品を選ぶとき、一つだけ強く意識してほしいことがあります。それは「コスト(手数料)」です。投資信託には、保有しているあいだ毎年かかる「信託報酬(しんたくほうしゅう)」という運用の手数料があります。これは一見わずかな割合に見えますが、何十年と保有するうちにじわじわと効いてきます。私が財務の現場で繰り返し見てきたのも、「リターンは読めないが、コストは確実に引かれる」という冷徹な事実でした。同じような全世界株式のインデックスファンドでも、この信託報酬には差があります。中身がほぼ同じなら、迷わずコストの低いものを選ぶ。これは、初心者が確実に勝率を上げられる、数少ない「確実な工夫」の一つです。幸い、つみたて投資枠の対象商品は、国がコストの低いものに絞り込んでくれているため、大きく外す心配は少なくなっています。

二つの枠、初心者はどう使い分ければいいか

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」、二つあると、どう使い分ければよいか迷うかもしれません。これも、難しく考える必要はありません。重要なのは、初心者のうちは、両方の枠で同じインデックスファンドを積み立てても、まったく問題ないということです。

「成長投資枠」という名前から、「成長しそうな個別株を選ばなければいけない」と身構える方がいますが、そんなことはありません。成長投資枠でも、つみたて投資枠と同じインデックスファンドを買えます。ですから、まずはつみたて投資枠を中心に使い、それでも余裕があれば成長投資枠でも同じものを積み増す、という形で十分です。個別の株式に挑戦するのは、知識と経験が増えてからでも遅くありません。最初から器用に使い分けようとせず、「王道のインデックスファンドを、二つの枠で淡々と積み立てる」。これがもっとも失敗の少ないやり方です。

NISAの「弱点」も、正直にお伝えします

ここまで良いことばかりをお話ししてきましたが、公平を期すために、NISAの注意点もきちんとお伝えします。物事には必ず両面があり、それを知ったうえで使うのが、賢い投資家の姿勢です。

最大の注意点は、「損をしたときに、その損を他の利益と相殺できない」ことです。通常の課税口座であれば、ある投資で損をしても、別の投資で出た利益とぶつけて、税金を減らすことができます。これを「損益通算(そんえきつうさん)」と言います。しかしNISAは、そもそも利益に税金がかからない代わりに、この損の相殺は使えません。とはいえ、これは「長期で世界に分散して積み立てる」という王道のやり方をしている限り、それほど気にする必要のないものです。短期で勝った負けたを繰り返す人ほど影響を受ける弱点であり、コツコツ続ける初心者にとっては、メリットがデメリットを大きく上回ります。

もう一つ、実務的な注意点も添えておきます。NISA口座は、一人につき一つの金融機関でしか持てません。複数の証券会社で同時にNISAを開くことはできないのです。金融機関を変えること自体は可能ですが、原則として一年に一回までという制限があり、手続きにも手間がかかります。だからこそ、最初にどの証券会社でNISA口座を開くかは、意外と重要な選択になります。後悔しないために、手数料が安く、扱う商品が豊富で、アプリやサイトが使いやすいネット証券を、最初から選んでおくのが賢明です。とはいえ、これも過度に神経質になる必要はありません。主要なネット証券であれば、どこを選んでも大きな失敗はまずありません。

iDeCoとは何が違うのか——順番だけ覚えておく

NISAと並んでよく聞く制度に、「iDeCo(イデコ)」があります。これも税金面で優遇された、老後資金づくりのための制度です。両者の違いを細かく説明すると長くなりますので、ここでは初心者が押さえるべき一点だけお伝えします。

最大の違いは、「お金を引き出せるタイミング」です。NISAはいつでも自由に売って引き出せますが、iDeCoは原則として60歳まで引き出せません。その代わり、iDeCoには掛けたお金がその年の税金を直接安くしてくれる、という強力なメリットがあります。どちらが良い悪いではなく、性質が違うのです。一般的な順番としては、いつでも引き出せて使い勝手のよいNISAをまず優先し、余裕があればiDeCoも併用する、という考え方が初心者には分かりやすいでしょう。iDeCoの詳しい中身は、別の記事で解説しています。

NISA口座は、どうやって始めるのか

では、実際にNISAを始める手順を見ていきましょう。といっても、やることは驚くほど簡単で、大きく三つのステップだけです。一つ目は、証券会社を選んで、NISA口座を開設すること。二つ目は、口座にお金を入れること。三つ目は、買いたい投資信託を選んで、毎月の自動積立を設定すること。これだけです。

証券会社は、手数料が安く、商品の品揃えが豊富なネット証券を選ぶのが基本です。窓口のある銀行などでもNISAは始められますが、手数料の高い商品をすすめられることもあるため、私は自分で選べるネット証券をおすすめしています。一度、毎月の自動積立を設定してしまえば、あとは基本的に「ほったらかし」で構いません。第3節でお話ししたとおり、相場を見て一喜一憂せず、淡々と積み立て続けることが、もっとも成功に近い道です。どの証券会社を選ぶか、口座開設の具体的な流れについては、本サイトの別の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

積立の設定について、一つだけコツをお伝えします。多くのネット証券では、クレジットカードで毎月の積立を支払う「クレカ積立」が使え、その金額に応じてポイントが貯まる仕組みがあります。つまり、投資をしているだけで、わずかですが実質的な上乗せが受けられるのです。さらに大切なのは、こうして「銀行口座やカードから自動で引き落とされ、自動で買い付けられる」状態を作ってしまうことです。人は、毎月自分の手で振り込んで買おうとすると、相場が下がった月にはどうしても手が止まります。しかし自動化してしまえば、感情が入り込む隙がありません。第3節でお話しした「感情ではなく仕組みで続ける」を、もっとも手軽に実現してくれるのが、この自動積立の設定なのです。一度設定すれば、あとは基本的に放っておくだけ。忙しい方ほど、この仕組みの恩恵は大きくなります。

NISAでやりがちな、三つの失敗

最後に、せっかくのNISAで初心者がつまずきやすい、三つの失敗パターンをお伝えしておきます。これを知っておくだけで、回避できる落とし穴です。

一つ目は、「枠を埋めようと無理をすること」。1,800万円や年間360万円という上限を見て、急いで埋めようと生活を切り詰めるのは本末転倒です。あくまで余裕資金で、無理なく続けましょう。二つ目は、「成長投資枠で、よく分からない個別株や流行りの商品に手を出すこと」。名前に惑わされず、まずは王道のインデックスファンドで十分です。三つ目は、第3節でも触れた、「相場が下がったときに怖くなって、積立をやめてしまうこと」。NISAは長期で続けてこそ真価を発揮します。下落は安く買えるチャンスと捉え、淡々と続けることが何より大切です。

逆に言えば、この三つさえ避ければ、NISAでの資産形成は驚くほどうまくいきます。難しい銘柄分析も、相場を読む特別な才能も要りません。必要なのは、「無理のない金額で」「王道のインデックスファンドを」「自動で積み立て」「相場が荒れても続ける」という、地味で退屈な習慣だけです。私はこれまで多くの方の資産形成を見てきましたが、最終的に着実に資産を増やしているのは、派手な投資の知識を持った人ではなく、この退屈な習慣を淡々と続けられた人でした。NISAは、その退屈な習慣の効果を、税金の面から最大限に後押ししてくれる制度です。難しく考えず、まずは小さく始めること。それが、十年後、二十年後のあなたを、確実に助けてくれます。

まとめ——「まずNISAから」が、すべての出発点

この節でお伝えしたことを、一つにまとめます。これから投資を始めるなら、まずNISAという「税金がタダになる箱」の中で、つみたて投資枠を使って、世界に分散したインデックスファンドを、無理のない金額で淡々と積み立てる。これが、もっとも有利で、もっとも再現性の高い、王道中の王道です。制度は複雑に見えても、初心者がやるべきことは、本当にこれだけなのです。

非課税の恩恵は、時間が長いほど大きく育ちます。そして制度は恒久化され、いつ始めてもよくなりました。だからこそ、「いつか」ではなく「今」、小さな一歩を踏み出す価値があります。次の第5節では、この積立がなぜそれほど大きな力を持つのか——その秘密である「複利の魔法」について、じっくりお話ししていきます。お金が時間を味方につけて、雪だるまのように増えていく仕組みを、一緒に見ていきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. NISAは結局、いくらから始められますか?

多くのネット証券では、月100円や1,000円といった少額から始められます。「まとまったお金がないと無理」ということはありません。まずは無理のない金額で口座を開き、自動積立を設定するところから始めれば十分です。慣れてきたら、自分のペースで金額を増やしていけば問題ありません。

Q. つみたて投資枠と成長投資枠、どちらを使えばいいですか?

初心者の方は、まず「つみたて投資枠」を中心に使うのがおすすめです。国が長期の資産形成に適すると認めた投資信託に絞られているため、安心して選べます。成長投資枠でも同じインデックスファンドを買えるので、余裕があれば同じものを積み増す形で構いません。最初から無理に使い分ける必要はありません。

Q. NISAで損をすることはありますか?

あります。NISAはあくまで「税金がかからない箱」であって、「絶対に儲かる魔法」ではありません。中で買った投資信託や株式の値段が下がれば、資産も一時的に減ります。ただし、世界に分散して長期間積み立てるという王道を守れば、長い目で見て損をする確率は大きく下がります。短期の値動きに動じないことが大切です。

Q. 今からNISAを始めても、もう遅いですか?

遅くありません。新しいNISAは制度が恒久化され、非課税の期間も無期限になりました。「いつまでに始めないと損」という締め切りはなく、何歳から始めても、その時点から非課税の恩恵を受けられます。もちろん、始めるのが早いほど時間を味方にできますので、「今が一番若い日」と考えて、小さく始めるのがよいでしょう。

著者

岸 泰裕(きし やすひろ)

早稲田大学大学院金融工学MBA取得。元外資系バンカー。財務・IR・ガバナンス・ESG専門。著書3冊、累計調達額480億円、明治大学リバティアカデミー講師(2014年〜)。

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