新著『日本株「配当×株主優待」で生活費消し込み投資』7月7日発売

2026年、新刊を出版しました。「お金の真実——エリートが教えてくれない日本の財務リアル」(仮題)は、私がこれまで外資系金融機関と上場企業の財務責任者として現場で見てきた「日本のお金の構造」を、できるだけ平易な言葉で書き下ろした一冊です。

この記事では、新刊の内容・執筆の背景・「なぜ今この本を書いたか」という私の思いをお伝えします。

「なぜこの本を書いたか」——執筆の動機

外資系金融機関で働いていた頃、私は「優秀なビジネスパーソンが、お金の基本的な構造を知らない」ことに繰り返し驚かされました。

「東大・慶應・早稲田を出て、大企業に勤めている人が、自分の退職金(確定拠出年金)を定期預金に全額入れたまま20年間過ごしている」

「年収1,500万円の人が、所得税・住民税・社会保険料の仕組みを正確に理解していない」

「上場企業の部長職にいる人が、自分の会社の株式価値の計算方法を知らない」

これは「個人の怠慢」ではありません。日本の教育システムが「お金の仕組み」を体系的に教えてこなかった結果です。「お金の話は下品」「投資は博打」という文化的な空気が、金融リテラシーの向上を阻んできました。

高校での「金融教育の義務化」(2022年〜)は一歩前進ですが、それだけでは不十分です。「すでに社会に出た大人」が使える「本物の金融リテラシー」を届けたい——それがこの本を書いた動機です。

「本の内容」——7章構成で「お金の真実」を解説

本書は「金融知識ゼロでも読める」ことを意識しながらも、「表面的な入門書ではない深さ」を追求した構成です。

第1章:「なぜ日本人はお金に弱いのか」——構造的な問題を解く

「銀行預金信仰」「投資=博打という誤解」「金融教育の不在」という「日本人の金融リテラシーの低さ」の原因を構造的に分析します。「個人が悪いのではなく、システムと文化の問題だ」という認識から始めることで、「自分を責めずに前向きに学ぼう」という動機付けを促します。

第2章:「お金の3つの機能」——「貯める・増やす・使う」の本質

「お金の価値は時間とともに変化する」という「現在価値と将来価値」の基礎概念を、難しい数式なしに解説します。「インフレが資産に何をするか」「複利の力とは何か」という「お金の基本メカニズム」を理解することが、すべての金融判断の土台になります。

第3章:「給与・税金・社会保険」——「手取り」の裏側を読む

「年収600万円の手取りはいくらか?」——正確に答えられる人は少ないです。所得税・住民税・社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)の仕組みを「自分の給与明細と照らし合わせて理解できる」レベルで解説します。「節税できるポイント」「iDeCoやNISAが税制上有利な理由」もここで明らかにします。

第4章:「投資の原則」——なぜ「長期・積立・分散」が正解なのか

「投資は博打ではなく、長期的な企業・経済の成長に参加すること」という投資の本質的な意味から始め、「インデックス投資の合理性」「アクティブ投資との比較」「リスクとリターンの正確な理解」を解説します。「何に投資すべきか」という問いへの私なりの答えも示します。

第5章:「不動産・株式・債券」——主要資産クラスの特性を知る

「不動産は本当に安全な資産か」「株式のリスクは預金より本当に高いか」「債券はなぜポートフォリオに組み入れるべきか」——それぞれの資産クラスの特性・リスク・リターンの性質を「外資系金融と上場企業財務の現場で培った視点」から解説します。

第6章:「人生設計とお金」——ライフステージ別の財務戦略

「20代・30代・40代・50代・60代以降」というライフステージ別に「何をすべきか」「何を重視すべきか」を整理します。「老後2,000万円問題」の本質的な意味と、「自分に必要な老後資金の計算方法」も提示します。

第7章:「日本経済の行方」——個人投資家として知るべき大局観

「日本の財政・金融政策・人口動態」という「日本経済の大局」を理解することが、「日本に住む個人投資家の資産配分」を決める上で重要です。「日本株一択はリスクか」「海外資産を持つべきか」「円安は個人の資産にどう影響するか」という問いに対する私の見解を示します。

「この本が届けたい読者像」

本書を手に取って欲しい方:

  • 「投資を始めたいが、何から学べばいいかわからない」という30〜40代のビジネスパーソン
  • 「証券会社・銀行の言う通りに商品を買ってきたが、本当にそれでいいか不安」という方
  • 「金融リテラシーが低い自覚があり、でも難しい本は読みたくない」という方
  • 「子供の金融教育をどうしたらいいか悩んでいる親」(本書を読んで理解した上で、子供に伝えてほしい)
  • 「定年退職後の資産運用・老後の生活設計について考えたい」50〜60代の方

逆に、「既に投資経験があり、高度な金融工学・デリバティブ・ヘッジ戦略を学びたい」という方向けの本ではありません。「基礎の土台を固める」ことにフォーカスしています。

「執筆で改めて気付いたこと」

本を書くというプロセスは、「自分が無意識に持っていた知識や考えを、言語化・整理する」作業でもありました。

外資系金融や上場企業の財務で大型の資金調達やM&Aの判断に携わっていた時の思考プロセスと、「毎月3万円を積立投資する個人の判断プロセス」は、本質的に同じ原則の上に成り立っています。「企業の価値は将来キャッシュフローの現在価値の合計」という命題は、「20年後の老後資金のために今いくら積み立てるべきか」という個人の計算と同じ構造を持ちます。

「規模は違えど、原則は同じ」——この事実を多くの方に伝えることが、本書最大のメッセージです。

「著者・岸泰裕について」——この本を書いた人間の素性

私・岸泰裕のバックグラウンドを改めてご紹介します。

  • 早稲田大学大学院ファイナンス研究科(金融工学MBA)修了
  • 外資系金融機関(スタンダードチャータード銀行東京支店)でのファイナンス業務:与信・財務分析・リスク管理の実務を経験
  • 上場企業の財務責任者(財務部長補佐・資金課長・財務IR):資金調達・M&A・IR・上場準備(IPO)の実務を主導
  • 外資系金融機関と上場企業の財務責任者としてのキャリア:現役の財務担当として実務に携わりながら、投資・執筆・セミナー活動を継続

「お金の教科書を書く専業著者」ではなく、「実際に大きなお金を動かしてきたプレーヤーが書く」という点が、本書の差別化要因です。「理論」だけでなく「現場での肌感覚・失敗体験・成功体験」が随所に盛り込まれています。

まとめ——「この本との出会いを、行動の出発点に」

本書を読むことで「何かが劇的に変わる」とは約束できません。しかし「お金の世界の地図」を手に入れることはできます。

地図を持たずに旅をするのと、地図を持って旅をするのでは、同じ道を歩いていても見えているものが全く違います。「あの分岐点を右に行くべきだった」と後悔する前に、地図を手に入れてほしい——それが本書への想いです。

本書に関するご感想・ご質問は、このブログのコメント欄・お問い合わせフォームよりお寄せください。すべてに回答できるわけではありませんが、できる限り目を通します。

「お金の真実」は、知った人から得をする世界です。ぜひ、今日から一歩踏み出してください。

本書で特に強調したかった「3つのメッセージ」

本書を書く中で、特に読者に伝えたかったメッセージが3つあります。それぞれについて改めて語ります。

メッセージ1:「投資は特別な人がするものではない」

「投資はお金持ちがするもの」「投資は専門家に任せるもの」という誤解が根強くあります。しかしインデックス投資という「低コスト・分散・長期」の王道戦略は、「毎月3万円から始められる」一般的な方法です。

私が外資系金融や上場企業の財務の現場で大きな資金を動かす判断に関わっていた時も、基本原則は「将来の収益を現在価値に割り引く」「分散でリスクを下げる」「長期で複利を活かす」という、個人投資家と変わらないものでした。「規模が違うだけで、原則は同じ」ということを、本書を通じて伝えたかったのです。

メッセージ2:「早く始めることが最大の優位性」

「複利の効果」を最大化するのは「時間」です。月3万円を年利5%で30年間積み立てると約2,500万円になります。同じ月3万円を20年間積み立てると約1,200万円。10年の差が約1,300万円の差を生みます。

「まだ若い」「もう少し知識をつけてから」「株価が下がってから」——という先送りがいかに高コストか。「完璧なタイミング・完璧な知識」を待っている間に、最大の資産である「時間」が失われていきます。「今すぐ始める」ことの価値を、本書は繰り返し強調しています。

メッセージ3:「正しい知識はシンプルだ」

金融業界は意図的に「複雑さ」を演出することで利益を得ています。「難しそうなので専門家に任せよう」という心理が、「高コストの金融商品」「不要な保険」「手数料が高いアクティブファンド」を売る機会になるからです。

しかし「本当に重要な金融の原則」はシンプルです。「低コストのインデックスファンドを毎月積み立て、長期保有する」「生活防衛資金(生活費6ヶ月分)は現金で確保する」「高金利の借金(消費者ローン・カードローン)は優先的に返済する」——これだけで、多くの人の資産形成の土台はできます。本書はその「シンプルな正解」を、わかりやすく提示することを目指しました。

「新刊を書いて見えた日本の現状」

執筆プロセスで大量の資料・データと向き合い、改めて見えてきた「日本の現状」があります。

「家計の金融資産2,100兆円」の現実

日本の家計金融資産は2024年末時点で約2,100兆円という巨額に達しています。しかしその約53%が「現金・預金」です。米国の家計は約13%しか現金・預金を持たず、株式・投資信託等に66%超を投資しています。

この差が「日本人の資産形成の遅れ」の最大の原因です。「失われた30年」に株式市場がほとんどリターンを生まなかったという歴史的な経緯はあります。しかし「日本株だけに投資する」時代は終わりました。世界分散投資という選択肢が個人にも開かれている今、「現金・預金に偏った資産配分」を変えることは合理的な選択です。

「新NISAという千載一遇のチャンス」

2024年から始まった新NISAは、「生涯1,800万円まで非課税で投資できる」という制度です。これは日本の金融・税制の歴史において極めて画期的な制度変更でした。

本来、投資で得た利益(配当・売却益)には約20%の税金がかかります。新NISAはこれを「非課税」にする。「30年で1,800万円積み立て・年率5%で運用した場合」に発生する税負担は数百万円規模になりますが、これが丸ごと非課税になる。「国がここまで個人の資産形成を支援する制度を作った」というメッセージを、活用しない手はありません。

「読者の皆さんへのお願い」

本書を読んで「なるほど」と思った方に、一つお願いがあります。

「知識を得ることで満足しないでほしい」ということです。

金融リテラシーを高めることの価値は「知っていること」ではなく「行動が変わること」にあります。「DCの運用先を変える」「新NISAの口座を開設して積立を始める」「高コストの保険を解約して投資信託に切り替える」——小さな一歩でいい。「読んで終わり」ではなく、「読んで行動する」きっかけにしてほしいのです。

「お金のことは難しい・怖い」という感覚が薄らぎ、「自分でも理解できる・自分でも行動できる」という感覚が生まれた時、本書の価値が生まれます。ぜひ、本書との出会いを「お金との新しい関係」の始まりにしてください。

「岸泰裕の他の著作・活動」

本書以外に、岸泰裕の金融リテラシー向上のための情報発信は以下の通りです。

  • このブログ(kishi.blog):「日本経済・財務・投資・ビジネス」をテーマに、実務家の視点から継続的に発信。新NISAの活用法・日本企業の財務分析・コーポレートファイナンスの実務等、幅広いテーマを扱っています
  • 企業向けセミナー:「社員の金融リテラシー向上」「DC活用研修」「管理職向け財務研修」等、企業のニーズに応じたカスタマイズセミナーを提供(詳細はお問い合わせ)
  • 個別相談:「資産運用・老後設計・転職・起業の財務面」についての個別相談(詳細はお問い合わせ)

「新刊の購入・感想」「セミナーの依頼」「ブログへの質問」等は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

まとめ——「この本が日本の金融リテラシーを少しでも高める一助になれば」

日本の金融リテラシーの低さは「個人の問題」ではなく「社会的な課題」です。一冊の本で解決できるものではありません。しかし「一人でも多くの人が『お金の真実』を知り、自分の経済的な未来を自分でコントロールできるようになる」ことが積み重なれば、日本社会全体の「経済的な強さ」につながると信じています。

本書が、その小さな一歩のきっかけになれれば——それが執筆者としての岸泰裕の願いです。


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著者プロフィール

岸 泰裕|早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了(金融工学MBA)。外資系金融機関を経て、上場企業で財務部長・財務責任者を歴任。480億円のシンジケートローン組成、R&IのA-格付取得を主導し、東証グロース市場への上場(2025年3月)に財務・IR担当として関与。現・イグニションポイント株式会社 財務担当マネージャー。明治大学リバティアカデミー講師。著書3冊。近著『日本株「配当×株主優待」で生活費消し込み投資』(ART NEXT)。詳しい経歴はプロフィールをご覧ください。

著者

岸 泰裕(きし やすひろ)

早稲田大学大学院金融工学MBA取得。元外資系バンカー。財務・IR・ガバナンス・ESG専門。著書3冊、累計調達額480億円、明治大学リバティアカデミー講師(2014年〜)。

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