岸泰裕です。
与党が過半数を大きく上回る議席を獲得しました。
このニュースを見て、「株価が安定するならいいか」と思ったあなた。
甘いです。あまりにも甘すぎます。
投資の世界では、大株主の支持を得た経営者は、強引なリストラや不人気な改革を断行します。
政治も同じです。
「選挙に勝った」という事実は、政府にとって「増税のフリーハンド(白紙委任状)」を手に入れたことを意味します。
今回は、安定政権が誕生したからこそ起きる、容赦のない「搾取の加速」について警告します。

1. 「黄金の3年間」は「増税の3年間」
次の大型国政選挙まで、最大で3年間の空白期間が生まれる可能性があります(衆議院の解散がなければ)。
政治家が最も嫌う「選挙」がないこの期間を、永田町では「黄金の3年間」と呼びます。
嫌われる政策は「今」やる
彼らのロジックはこうです。
「次の選挙はずっと先だ。国民はすぐに忘れる。だから、今のうちに痛みを伴う増税や負担増を全部やってしまおう」
消費税の増税議論、炭素税の導入、そして社会保険料のさらなる引き上げ。
これらが、これからの1〜2年で一気に噴出します。
野党が弱体化した今、国会でそれを止める力はありません。
2. 社会保険料の「全世代型」搾取
安定政権がまず手をつけるのは、間違いなく社会保険料です。
「全世代型社会保障」という美しいスローガンの下で行われるのは、「全世代からの徴収」です。
- 高齢者の負担増:75歳以上の医療費窓口負担の原則2割化(今は例外のみ)。
- 現役世代の負担増:介護保険料の支払いを20歳からに引き下げ(今は40歳から)。
- パート・アルバイトの壁崩壊:週10時間労働でも社会保険加入義務化。
これらは「議論」のフェーズを過ぎ、「実行」のフェーズに入ります。
選挙で勝ったのですから、彼らに躊躇する理由はありません。
「国民の信を問うた結果だ」と言われれば、反論できないのです。
3. 金融所得課税への布石
そして、投資家として最も警戒すべきは「金融所得課税の強化」です。
「一億総株主」と言ってNISAを推奨しておきながら、安定政権は平気でハシゴを外します。
「格差是正」を大義名分に、現在の20.315%の税率を、25%、30%へと引き上げる議論が必ず出てきます。
選挙に勝った今、富裕層や投資家からの反発など、彼らにとって痛くも痒くもありません。
「持てる者」から取るのが、ポピュリズムの王道だからです。
結論:防御を固めよ、嵐が来る
与党の圧勝は、あなたにとって「安心材料」ではありません。
「最強の徴税マシーン」が完成したという「警戒警報」です。
政府が強気に出てくる以上、個人の防衛策もレベルを上げる必要があります。
国内の増税リスクから逃れるための「海外資産へのシフト」、税制の隙間を突いた「法人活用」。
これらを、今まで以上に真剣に、そして迅速に行う必要があります。
政治が安定すればするほど、国民の生活は不安定になる。
このパラドックスに気づいた人だけが、資産を守り抜くことができます。
参考・公式資料
「信任」を得た政権の財政運営——歴史が示すパターン
選挙で大きな信任を得た政権が、その後どのような財政運営をしてきたか。歴史的なパターンを振り返ります。
2000年代以降の日本の政治を見ると、「選挙大勝→財政拡張→増税先送り→財政悪化→次の選挙でバラマキ」というサイクルが繰り返されています。選挙に勝った政権が財政規律を強化した例は極めて少なく、むしろ強い政権基盤を「信任」として解釈し、支持基盤への利益還元に使うパターンが目立ちます。
「代償」を払わされるのは誰か——可処分所得の構造的な縮小
与党圧勝の代償として、現役世代・中間所得層が払い続けるコストをまとめます。
- 社会保険料の継続的引き上げ:医療・年金・介護の保険料は「増税」と呼ばれないまま引き上げが続く。手取りは名目賃金の上昇分を上回るペースで減少
- インフレ税:財政赤字拡大→円安→輸入物価上昇という経路で、国民の実質購買力が「静かに」収奪される
- 将来世代への負債移転:1200兆円超の国債残高は、今後の世代が担う「先払いされた増税」。現在の有権者は「代償を払うのが将来世代」という構造を維持することに合理的なインセンティブを持っている
これらを理解した上で、個人としてできる最善の対策は「増税・インフレに強い資産構成」と「課税を合法的に回避する仕組み」を持つことです。政治結果を変えることより、その結果への適応力を高めることが、現実的な個人の生存戦略です。
参考・公式資料
「「与党地滑り勝利」が家計に意味すること——政治変化を財布で理解する」
「選挙の結果が自分の財布にどう影響するか」——抽象的な政治ニュースを「個人の資産・収入への影響」として翻訳することが重要です。
「与党圧勝が意味する「財政政策の継続」」
「与党が大勝した場合の経済政策の方向性」:
- 「財政拡張的な政策(支出増加・減税)の継続」——短期的な株価・消費への追い風
- 「ただし財政赤字の拡大が続く」——長期的には日本国債への信認低下・円安リスク
- 「社会保険料の引き上げ・給付削減」——財政赤字削減のツールとして継続
「「政治変化に備えた資産配分」の原則」
「どの政党が勝っても、日本の構造的な財政問題(社会保障費の増大・少子高齢化・累積債務)は解決しない」という現実を起点にした資産配分:
- 「円建て資産の集中リスクを意識し、外貨建て資産(米国株等)で分散する」
- 「インフレ・円安に強い実物資産(不動産・金)を一定比率保有する」
- 「社会保険料の増加に対して、iDeCoの控除・NISAの非課税を最大限活用する」
「「税と財布」の正直な話——政治家が言わないことを言う」
政治家が選挙期間中に約束する「減税・給付増」の多くは「財源の担保がない空約束」であることが多い。「選挙後に財源問題で計画縮小・別の増税で補填される」というパターンが繰り返されています。「政治家の言葉ではなく、政府の「実際の財政行動(予算書・税制改正大綱)」を見て判断する」という習慣が、「政治に財布を翻弄されない」ための実践的な心得です。
「「政権選択」の代わりに「資産選択」をする——政治家より市場を信じる理由」
「選挙で誰が勝っても自分の財布が良くなるとは限らない」——この認識を持った上で、「政治への依存から脱して・市場の仕組みを活用した資産形成に集中する」という考え方を採用する人が増えています。
「「市場は政治より正直」という原則」
「株式市場は「政策の効果」を先取りして動く」という特性があります。「与党が景気対策を発表→株高」「増税議論が浮上→特定セクター株安」という反応は、「政治家の言葉より市場参加者の集合的判断が「現実」を反映している」ことを示しています。「政治家の発言を聞くより・市場の動きを読む」習慣が、「政治リスクへの個人の対処法」として有効です。
「「政治への絶望」を「行動のエネルギー」に変換する」
「どの政党が勝っても変わらない」という絶望感を、「ならば個人が変えるしかない」というエネルギーに変換できるかどうかが、「政治に振り回されない人生」の鍵です。「政治に変化を期待する時間とエネルギー」を「自分の資産形成・スキル向上・収入源の多様化」に投じることが、「実際の生活の質向上」への最短ルートです。
「選挙を「ニュース」として見ながら・自分の財布は自分で守る」——この二段構えの姿勢が、「政治の季節」に揺さぶられないための実践的な知恵です。
「「与党の財布」——政策決定と利益誘導の構造」
「与党が「財布」を握ることの意味を理解することは、日本の財政・経済政策を読み解く上で不可欠です。「予算配分・補助金・規制・税制優遇」という「政府の財布」を誰が・どのように使うかが、産業・地域・個人の利害に直接影響します。
「「予算の政治化」が生む非効率」
「政策的に必要な支出」と「政治的に必要な支出」は異なります。「地方の公共事業・農業補助金・特定産業への補助」の多くは「経済合理性」より「政治的票田の維持」という目的で継続されている面があります。「財政赤字が拡大する中でも「削減できない支出」が存在する」構造的理由がここにあります。
- 「農業補助金」——食料安全保障という名目だが、実質は地方票田の維持
- 「地方交付税」——地方の財政格差是正という建前だが、政治的見返りの性質も
- 「特定業界への補助・規制保護」——業界団体の政治献金・組織票と連動
「「与党の財布」を読む投資家の視点」
「政府の支出・補助金・規制変化」を先読みすることは、投資家にとって重要なアルファ(超過収益)の源泉になります。「政策的優先度が高い分野(防衛・半導体・再生エネルギー・スタートアップ支援)」への予算配分が増加すれば、その分野の企業は政策的恩恵を受けます。
「与党が変わると政策の優先度が変わる」——選挙結果と内閣支持率を注視しながら、「政策の受益者・被害者」を判断する習慣が、日本株投資では特に重要です。「政治リスクを「リスク」ではなく「機会」として捉える視点」が、プロ投資家と個人投資家の大きな差になっています。」
「「与党の財布」を読む——今後の政策テーマと投資機会」
「与党が「財布(予算)」の使い方を変える時」は、「投資ポートフォリオを調整するサイン」でもあります。「岸田政権の「新しい資本主義」から石破政権・次期政権への政策転換」という流れの中で、「政府の優先投資分野」がどう変わるかを注視することが重要です。
「2024〜2026年に政策的追い風が予想される分野」:
- 「防衛・安全保障関連(三菱重工・川崎重工・IHI)」——GDP比2%目標
- 「半導体・先端技術(ラピダス・東京エレクトロン)」——経済安全保障投資法
- 「再生可能エネルギー(丸紅・伊藤忠)」——GX推進法
「与党の財布がどこに向かうかを先読みし、そのトレンドに乗る」——これが日本株投資における「政策テーマ投資」の基本です。」
「政策と市場の関係を読む力が、日本株投資の本質的な競争優位です。」
著者
岸 泰裕(きし やすひろ)
早稲田大学大学院金融工学MBA取得。元外資系バンカー。財務・IR・ガバナンス・ESG専門。著書3冊、累計調達額480億円、明治大学リバティアカデミー講師(2014年〜)。