運用の世界ではやってはいけないことがいくつかあります。
「みんなやっているから」はやってはいけない
まず避けなくてはいけないことは、みんながやっているから自分もやるという横並びの行動です。
テレビで流行していると言っているから、みんなが買っているから購入するといった行動は極めて危険な行為です。
1929年に起こった世界恐慌の前夜、アメリカがバブルであった時、当時投資家として有名であったジョセフ・P・ケネディ(ジョセフ・F・ケネディ大統領の父親)は路上での靴磨きの最中に、靴磨きの少年から株式投資の話を持ち掛けられ、靴磨きの少年までが株式相場の話をする世の中は正常でなくバブルだと考え、保有していたものを早々に手放したことで、大暴落による損失を回避できたと言います。
運用の世界ではみんなと同じではなく、違う行動をした方が利益につながる場合もあります。
わからないものには手を出さない
運用の世界で失敗しないためには、自分がわからないもの、理解できないものには手を出さないということです。聞いたことが無い英語やカタカナの言葉がたくさん使われている商品や、中身が複雑で説明を聞いても難しくてよくわからない商品を勧められても、わかったふりをしたり、金利だけを見て投資をしてはいけません。
金融商品は基本的に実にシンプルなもので出来ています。あまりに複雑でわかりにくい説明の商品については、販売者(営業マン)がそもそも商品について理解が出来ていないか、本当はデメリットが大きいにも関わらず煙にまこうとしている商品である可能性があります。
前者の様に自社商品について理解をしてない販売員から金融商品を購入する事は避けた方が無難ですし、後者の場合はカモにされている可能性があります。説明を受けても仕組みがわからない商品については、判断を行うための情報が不足しているということですので、手を出さないことが原則です。
リーマンショックの際、ハイリスクハイリターンの仕組債という商品が流行しました。仕組債自体は本来、極めて健全な金融商品ではありますが、そのハイリスクについての説明は簡略化して、ハイリターンの部分だけを説明して販売をしている証券会社がいくつか存在していました。
また、日本の主要な金融機関においても、その説明が理解できていないのに、そのハイリターンに目がくらんで大量に購入をしてしまった事例がありました。当時、商品や金融についての知識がある海外の機関投資家が手を出さない売れ残った商品であっても、日本の機関投資家に持っていけば即売できる。そんなことが言われていました。
しかし、やはりハイリスクであったために、仕組債の破たんが発生し、日本の金融機関は後に大損失を受けてしまいます。たとえプロである機関投資家であっても、わからないものに手を出してしまった場合には大損失をくらってしまいます。
個人投資家である私たちは、機関投資家以上にわからないものには手を出さないように注意しなければなりません。
自分で考え判断する
自分で判断するためには、運用についての知識をつねに更新していなければなりません。新聞や雑誌等でニュースをしっかり確認して、現在という時代についてしっかりと認識をしておくことが重要です。
また、常に相談が出来る、信頼のおける人を周りに持つことも重要です。自分が興味があり手を出そうとしているものについて、客観的に冷静な目線で分析を行い、良いか悪いかを判断をしてくれる人を近くに持つことで、金融詐欺の様な犯罪に巻き込まれることを防ぐだけでなく、合法ではあるものの、投資家が勝つ可能性が極めて低い商品も世の中には多数存在しています。
そして、これら投資家の勝率が低い商品を、私たちの身近な投資銀行や地方銀行も取り扱っており、窓口や営業マンが販売しています。
これらの罠にひっかからないように、わからない商品については手を出さない、完全に理解できるまでは購入しないことを必ず守って下さい。特に近年では退職金を受け取った方や、大口の定期預金が満期を迎えた方に対して金融機関の窓口などで金融商品を勧めていることが散見されます。時には販売員自身が理解できておらず説明もあやふや、自身も説明を受けてもよくわからないにも関わらず、いつも使っている銀行だからと勧められるままに購入してしまう方がおられます。
日ごろの付き合いも当然重要ですが、金融商品については罠にひっかかってしまわないように、しっかりと自分の頭で考えて判断しましょう。