運用の世界では、昨日まで通用していた「常識」が今日は通用しないことがあります。
現実・社会が常に変化しており、運用の常識も常に変化します。
社会は常に変化し続けている。
近年の社会はブラックスワンと呼ばれる様な、
従来想定されていないことが多数発生する世界となりつつあります。
日本においても東北地方太平洋沖地震では想定以上の高さの津浪が沿岸部を襲いました。
またリーマンショックや世界的なソブリン危機といった、
世界の市場が不安定になる様なイベントが近年多く発生しています。
また、世界的な中央銀行による金融緩和、そして最近では利上げラッシュが発生しており、
「金利がある世界」が「金利はない世界」に変化したり、また「金利がある世界」に変化したりと、
運用や金融機関についての常識が近年大きく変化しています。
例えば銀行はリーマンショック以降、
今までの個人から貯金を集め企業に融資をする金利の利ザヤを取るビジネスモデルから、
投資信託や保険の販売などによる手数料ビジネスへ変化しています。
近年ではさらに通信会社と提携したり、シェアオフィスを展開したりと更に範囲を広げています。
そして、情報通信技術や金融技術の発展に伴い、
世界のどこかで発生した事件が瞬時に世界中に影響する時代になっています。
これらの社会の変化を注目し対応しながら運用を行っていかなければなりません。
【注記】
ブラックスワン:従来存在しないといわれていた黒い白鳥の発見から白鳥の定義が大きく変化した事から、市場において、事前にほとんど予想できず、起きた時の衝撃が大きい事象のことを言う。
重要なことは情報収集と判断するための知識
社会の変化を把握するために最も重要なことは情報収集です。
今何が起こっているのか、社会や市場の変化について正しい情報を収集しなければなりません。
以前は情報の収集元はテレビや新聞雑誌等に限られており、
どうしても企業の情報発信から情報を得るまでタイムラグがありました。
しかし近年では決算発表等もインターネットで同時中継がされるなど、
企業などが発進した情報を投資家が直接入手できるようになりました。
早く一次情報を得ることが出来るようになったことは運用にはプラスになります。
ただし例えば企業は、株価等に好影響を与える情報については大きく、
悪影響を与える情報については小さく発信する傾向があります。
その情報が何を意味しているのかをしっかりと判断し、
情報発信の奥にある本質を見抜かなければなりません。
その為には財務諸表を読むための会計についての知識や、
過去の経済の流れといった知識も判断のための知識を得るためには重要です。
【注記】
財務諸表:企業の経営成績や財務状態を報告するために作成された資料のこと。主に貸借対照表と損益計算書からなる。
社会の変化と自分の変化をリンクさせよう
このように社会は常に大きく変化を起こっており、市場や経済も、世の中の価値観も常に変化しています。
資産運用に関する部分についても、世の中には常に新しい金融商品が提供されています。
例えばここ数年でビッドコインをはじめとする暗号資産が金融市場に発生しました。
これらの商品について、投資対象として適切かどうかの確認を行うとともに、
自分に向いているかどうかを確認しなければなりません。
そして、もし自分に合う商品であれば資産に組み入れを行うことも必要かもしれません。
一方で過去組み入れをしていた商品も、社会の変化によって資産から取り除く必要が出てくるかもしれません。
過去の知識や経験だけで判断するのではなく、社会の変化を柔軟に吸収し、
自身の資産配分だけでなく、価値観やライフスタイルについても変化していきましょう。
変化だけが正しいわけではない
ただし、世の中には変わらないこともあります。
資産運用の考え方についてや、基本的な運用の商品、手法などの考え方については
そうそう変化するものではありません。
そして長きに渡り変化をしてこなかったことは、
長い期間における市場や社会の変化に対応し続けたことであるとも言えます。
変えるべきことは変えながらも、変えるべきでないことは変えることなく、
時代を取り入れながらも基本に忠実に運用をしていかなければなりません。
例えば高金利のサブプライム債券等の仕組債が流行した時に、
金利が高いことを好感し流行に乗って大量に購入していた金融機関もあれば、
その高金利の後ろにあるリスクの高さを理解して購入を控えていた金融機関もありました。
どんなに新しい金融商品が誕生したとしても、あくまでリターンとリスクは表裏一体です。
時代の変化を冷静に見極め、基本には忠実にしながらも取り入れるべきことは取り入れていきましょう。