政治家も買っている? 資産公開データから読み解く「先生たち」の本当の投資先

岸泰裕です。

国会中継を見ていると、政治家たちは口を揃えてこう言います。
「国民の皆様には、貯蓄から投資へのシフトをお願いしたい」
「日本経済の成長を確信している」

素晴らしいスローガンです。しかし、私は職業柄、人の「言葉」よりも「財布」を信用します。
彼らが演説で何を語ろうと、彼ら自身が自分のお金をどこに投じているか。
それこそが、彼らが本音で予測している日本の未来図だからです。

国会議員の資産公開データは、表面的な数字だけを見ても真実は見えません。
「預金ゼロ」「株式ゼロ」と報告している大物議員が、なぜあんなに豪勢な暮らしができるのか?
そこには、一般庶民には知らされないカラクリと、狡猾なまでの「自己防衛本能」が隠されています。

今回は、公開データの裏側に潜む「先生たち」のリアルなポートフォリオを丸裸にし、そこから私たちが模倣すべき「沈みゆく国での生存戦略」を読み解きます。

1. 「資産公開」というザル法のアナログな罠

まず前提として、日本の国会議員の資産公開制度は「ザル」です。
2026年のデジタル社会になってもなお、この制度は驚くほどアナログで、意図的に抜け穴が放置されています。

「普通預金」は資産ではない?

信じられないかもしれませんが、公開対象となるのは「定期預金」のみです。
「普通預金」はいくら持っていても公開義務がありません。
つまり、決済用口座に数億円のキャッシュを入れておけば、資産報告書には「預金ゼロ」と記載できるのです。
「私は清貧な政治家です」というポーズをとるための、最も初歩的なトリックです。

「家族名義」と「資産管理会社」の闇

さらに重要なのが、公開対象が「本人名義」に限られる点です。
賢い政治家(あるいは世襲議員)は、個人の財布で投資なんてしません。
一族で経営する「資産管理会社」や「不動産管理会社」、あるいは配偶者や子供の名義に資産を移転させています。

都内の一等地に立つ豪邸も、高級外車も、すべて「会社の所有物」や「社宅」扱い。
株式投資も法人名義で行えば、資産公開のリストには載りません。
私たちがニュースで見せられている「平均資産額2000万円」といった数字は、氷山の一角ですらない、ただの「見せ金」に過ぎないのです。

2. インサイダーたちが選ぶ「3つの本命資産」

では、裏側で彼らは何を買っているのか。
永田町や霞が関の事情通、そして私のような資産アドバイザーのネットワークから漏れ聞こえる「リアルな投資行動」には、明確な傾向があります。

① 都心の不動産(実物資産)

圧倒的に多いのが不動産です。
それも、地方の土地ではなく、千代田区、港区、渋谷区といった「都心3区のマンションやビル」です。

なぜか。
彼らは知っているからです。
「異次元の金融緩和」や「財政出動」を続ければ、日本円の価値が下がり(インフレになり)、現物の価値が上がることを。
自分たちがインフレ政策を推し進めながら、その恩恵を最も受ける場所に資産を置く。
これぞ究極のインサイダー取引(道義的な意味で)と言えるでしょう。

② 外国資産(ドル・米国株)

「日本円を守る」と叫ぶ保守派の議員ほど、資産管理会社を通じて米国株やドル建て債券を大量に保有しているケースが散見されます。
円安が進めば進むほど、彼らの資産は膨らみます。
表では「円安是正」を訴えながら、裏では「もっと下がれ」と願っている。
このダブルスタンダードこそが、政治家の処世術です。

③ 換金性の高い「動産」(金・美術品・会員権)

そして、資産公開の盲点となりやすいのが、書画骨董、美術品、そして金(ゴールド)です。
これらは評価額が曖昧で、かつ持ち運びが容易です。
万が一、政界を追われたり、日本にいられなくなったりした時の「逃走資金」として、これほど優秀なものはありません。
最近では、ここに「アンティークコイン」が加わってきています。
私の顧客リストの中に、現職の政治家の名前がないとは言い切れません(守秘義務があるので言えませんが)。

3. 政治家は「日本号」の救命ボートを確保している

彼らのポートフォリオを見てわかること。
それは、**「日本経済の復活にフルベットしていない」**という冷徹な事実です。

もし彼らが本当にアベノミクスや新しい資本主義の成功を信じているなら、資産の100%を日本株や日本国債で持てばいいはずです。
しかし、彼らはそうしません。
日本という船が沈んでも、自分だけは助かるように、不動産という浮き輪や、ドルという救命ボートを周到に用意しているのです。

これを「裏切り」と呼んで怒るのは簡単です。
しかし、投資家としての正解は、感情的に批判することではなく、**「彼らの行動を模倣(コピー)すること」**です。

4. 私たちが組むべき「政治家型ポートフォリオ」

政治家と同じ特権(情報の早さや法人の使い勝手)はありませんが、エッセンスを取り入れることは可能です。

① 日本円を信用しない

彼らがやっているように、資産の半分以上を「日本円以外(外貨・実物)」に移してください。
国債を発行する側の人間が円を持っていないのですから、私たちが持つ理由はありません。

② インフレの波に乗る

彼らが不動産を持つのと同じ理由で、私たちもインフレに強い資産を持つべきです。
数億円のビルは買えなくても、REIT(不動産投資信託)や、数万円から買える銀貨、数十万円の金貨なら買えます。
規模は違っても、やるべきことは同じです。

③ 「見えない資産」を持つ

資産公開制度の抜け穴を利用するように、私たちも「プライバシーの高い資産」を持つべきです。
金融資産はマイナンバーで丸裸にされますが、自宅の金庫や貸金庫にあるアンティークコインは、誰にも覗かれません。
国家権力を行使する側の人間が、国家の監視を逃れる資産を好む。
この皮肉な事実に、資産防衛のヒントが詰まっています。

結論:言葉ではなく、ポジションを見ろ

選挙の公約や、テレビでの発言は「エンターテインメント」です。
真実は、彼らの「ポジション(資産配分)」にしかありません。

政治家は、日本がどうなろうと生き残る準備を終えています。
あなたはどうですか?
「国がなんとかしてくれる」と信じて、丸腰で立っていませんか?

彼らを批判する前に、彼ら以上に狡猾に、したたかに。
自分の資産を守るための「裏のポートフォリオ」を構築してください。
それが、乱世を生き抜くための唯一のリアリズムです。

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