岸泰裕です。
先日、ニュースで聞いた話に背筋が凍りました。
「ビデオ通話で取引先の社長と話して、緊急の送金を依頼されたんだが、実はそれがAIで作られたディープフェイクだった。声も顔も癖も完璧で、送金直前に本人の携帯に電話しなかったら数千万円やられていた」
2026年、私たちはついに**「目に見えるもの、耳に聞こえるもの」を一切信じられない時代(ゼロ・トラスト社会)」**に突入しました。
SNSの美女はAIかもしれない。ニュース映像は生成されたものかもしれない。電話の声は合成音声かもしれない。
この「真実の蒸発」は、社会に絶望をもたらすでしょうか?
投資家の視点で見れば、これは大きなチャンスです。
偽物が溢れれば溢れるほど、**「本物(アナログ)」の価値が暴騰する**からです。
今回は、AI時代における「信用のパラダイムシフト」と、私たちが投資すべき「真実」という資産について深掘りします。

1. デジタルは「無料」で「無限」になった
経済学の基本です。
供給が無限になれば、価格はゼロに近づきます。
生成AIの普及により、文章、画像、動画、音声、プログラムコード。
これらは誰でも、一瞬で、ほぼコストゼロで大量生産できるようになりました。
その結果、デジタルコンテンツ単体の価値は暴落しています。
かつて持て囃されたNFTアートが2023年以降に崩壊したのも、結局は「デジタルデータ」であり、コピーや類似品の生成が容易だったことが一因です。
2. 「会って話す」ことのプレミアム化
デジタルが信用できないなら、人は何を信じるか。
皮肉なことに、最も原始的な**「フィジカル(物理的実体)」**です。
対面回帰と「場所」の価値
重要な契約、M&Aの交渉、富裕層のネットワーキング。
これらはZoomやMetaverseから、「会員制クラブ」や「隠れ家レストラン」といったリアルな場へと回帰しています。
「わざわざ時間を使い、身体を運んで、同じ空気を吸った」というコストそのものが、信用の担保になるからです。
だからこそ、都心の一等地にある「場所(不動産)」や、選ばれた人しか入れない「コミュニティ」の会員権は、AI時代においてさらに価値を高めます。
ハンコ文化の意外な復権?
笑い話のようですが、電子署名の偽造リスクが懸念される中、「実印」や「自筆のサイン」といった、物理的な証拠能力が見直される動きすらあります。
「不便であること」「複製が難しいこと」が、セキュリティとしての価値を持つ。逆転現象が起きています。
3. 投資対象としての「アンティークコイン」再考
私が専門とするアンティークコインも、この文脈で語ると価値が明確になります。
ビットコインなどの暗号資産は、秘密鍵を盗まれたり、ハッキングされたりするリスクが常にあります。
しかし、19世紀の金貨は、物理的にそこに存在します。
AIがどんなに進化しても、金(ゴールド)の原子を生成することはできませんし、100年の歴史(経年変化)を捏造することも(プロの鑑定眼の前では)不可能です。
「デジタルの虚構」に疲れた富裕層マネーが、絵画、ワイン、クラシックカー、そしてコインといった**「触れられる歴史(タンジブル・アセット)」**に避難してきている。
これが、2026年の実物資産ブームの正体です。
4. 結論:AIに投資するな、「人間関係」に投資せよ
AI関連株を買うのも良いでしょう。
しかし、あなたの人生における本当のポートフォリオには、**「嘘をつかない人間関係(トラスト・ネットワーク)」**を組み込んでください。
「この人の紹介なら間違いない」
「岸さんが現物を見て太鼓判を押したなら買う」
AIが普及すればするほど、こうした「人検索」「人確認」のコストは上がり、その仲介ができる「信用ある人間」の市場価値は高まります。
テクノロジーに踊らされず、泥臭い信頼を積み重ねる。
それこそが、ディープフェイクの海を渡る唯一の羅針盤なのです。