2026年税制改正の足音。「金融所得課税」強化から資産をどう守るか

岸泰裕です。

資産家にとって、最も警戒すべきリスクとは何でしょうか。
市場の暴落? いいえ、歴史的に見て、富を最も大きく毀損させるのは**「増税」**です。

2026年現在、政府内で議論が再燃している「金融所得課税の強化」。
具体的には、現在一律20.315%である株式や投資信託の譲渡益・配当への課税を、25%〜30%へ引き上げようという動きです。
「格差是正」という美名のもと、資産形成層への実質的なペナルティが課されようとしています。

今回は、この増税シナリオに対し、私たちが今から準備できる「合法的かつ賢明な防衛策」について解説します。

1. 「20%」は永遠ではない。過去の歴史が語るもの

日本の金融所得課税は、かつては10%(軽減税率)の時代もありましたが、現在は約20%です。
しかし、世界を見渡せば、米国や欧州の一部では30%近い税率が適用されるケースも珍しくありません。

日本の財政状況を鑑みれば、消費税増税の前に「取りやすいところ(=富裕層・投資家)」から取るというのは、政治的な力学として十分にあり得るシナリオです。
もし税率が20%から30%になれば、手取りのリターンは単純計算で1割以上減ることになります。これは、複利効果を著しく阻害します。

2. 今すぐできる防衛策:NISAの枠を「聖域」にする

増税への最強の盾は、すでに皆さんがお持ちの**「新NISA」**です。
NISA口座内での利益は、将来税率が何%になろうとも、恒久的に「非課税(0%)」です。

まだ生涯投資枠(1,800万円)を埋めきっていない方は、増税が現実化する前に、可能な限り最短で枠を埋めることを最優先してください。
特定口座(課税口座)にある資産を一度売却し、税金を払ってでもNISA口座へ移す価値は、増税リスクを考慮すれば十分にあります。

3. 「課税されない資産」を持つ:実物資産の優位性

金融所得課税の対象は、あくまで「金融商品(株、債券、投信など)」です。
では、それ以外の資産はどうでしょうか。

ここで再び注目されるのが、**金(ゴールド)**や**アンティークコイン**、**現代アート**といった実物資産です。

  • 譲渡所得の特別控除:
    実物資産(金地金など)の売却益は「譲渡所得」となり、保有期間が5年を超えれば課税対象額が半分になる(長期譲渡所得)というメリットがあります(総合課税のため、給与所得等との合算には注意が必要ですが、分離課税の増税影響を直接受けない分散効果があります)。
  • 捕捉の難しさ(プライバシー):
    金融資産はマイナンバーで完全に紐付けられ、ガラス張りです。一方、実物資産は、購入時・売却時の本人確認は必要ですが、保有している間は誰にも知られず、評価額も変動するため、プライバシー性の高い資産と言えます。

4. 「法人化」によるコントロール

個人の税率が上がるのであれば、法人を活用するのも一つの手です。
資産管理会社(マイクロ法人)を設立し、法人名義で運用を行う。
法人税の実効税率は約30〜34%ですが、経費計上による利益圧縮や、赤字の繰越控除(10年間)など、個人にはない多くの節税手段が使えます。

特に、年間の運用益や配当収入が数百万円を超えるレベルの方は、個人増税を見据えて、法人化のシミュレーションを今のうちに行っておくべきです。

5. 結論:ルール変更に強い資産配分を

投資の世界において、後出しジャンケンのような「ルール変更(増税)」は常に起こり得ます。
しかし、嘆いていても資産は守れません。

「NISA」×「実物資産」×「法人活用」。
この3つの矢を組み合わせ、国家の徴税権が及びにくい強固な要塞を築くこと。
これが、2026年以降の資産防衛のスタンダードとなるでしょう。

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