なぜ今、英国コインなのか? 500年の歴史が証明する「王道の資産保全」

岸泰裕です。

「資産防衛のためにアンティークコインを買いたいが、どこの国が良いか?」
この質問に対する私の答えは、2026年の今も、そしてこれからも変わりません。

迷ったら、**「英国(グレートブリテン)」**一択です。

フランスのナポレオン金貨も、ドイツの都市景観銀貨も、アメリカのダブルイーグルも魅力的です。
しかし、資産保全という観点において、英国コインが持つ「王者の風格」と「鉄壁の安定感」に勝るものはありません。

なぜ、世界の富裕層は英国コインを買い求めるのか。
今回は、単なるデザインの良し悪しを超えた、歴史的背景と金融的信用力に基づく「英国コイン最強説」を、4000文字の密度で論証します。

1. 「途切れない」という最強のブランド

コインの価値を支える根源は何か。
それは発行体(国家・王室)の「信用の継続性」です。

ヨーロッパの歴史を見てください。
フランスは革命で王政が倒れ、ギロチンで王の首が飛び、共和制になり、帝政になり…と断絶の歴史です。
ドイツも神聖ローマ帝国から分裂し、帝国になり、敗戦でハイパーインフレを経験し、東西に分かれました。
ロシアや中国に至っては、体制そのものが完全に覆っています。

しかし、イギリスはどうでしょうか。
1066年のウィリアム征服王以来、清教徒革命という一時的な中断(クロムウェル)を除けば、約1000年にわたり「王室」というシステムが続いています。

この「Continuity(継続性)」こそが、資産価値の岩盤です。
300年前のポンド金貨が、今のポンド紙幣の祖先として地続きで繋がっている。
世界中のコレクターが「英国コインなら間違いない」と信じ込む、この圧倒的なブランド力(流動性)は、他国のコインには真似できないものです。

2. 「5ギニー金貨」:機械打ちコインの頂点

英国コインを語る上で避けて通れないのが、1663年から発行が始まった**「5ギニー金貨」**です。
チャールズ2世からジョージ3世までの歴代国王の肖像が描かれた、重さ約41.7g、直径約37mmの大型金貨。

これは当時、一般庶民が使うお金ではありませんでした。
王侯貴族や富豪たちが、資産を蓄えるため、あるいは贈答用として使った「富の象徴」です。
現代で言えば、数千万円の小切手や、ブラックカードのような存在です。

なぜ5ギニーが「買い」なのか

2026年の今、私が5ギニーを推す理由は3つあります。

  1. 絶対的な希少性:
    もともとの発行枚数が少ない上、長い歴史の中で溶解されたり紛失したりして、現存数は極めて少ない。特に、状態の良い「AU(準未使用)」以上のグレードは、オークションに出れば争奪戦になります。
  2. 歴史の重み(ヒストリカル・プレミアム):
    「ウナ&ライオン(1839年)」などの19世紀コインが高騰しすぎた反動で、資金がより古く、より歴史的価値の高い17〜18世紀へ回帰しています。5ギニーはまだ「歴史的価値に対して価格が追いついていない(割安)」局面にあると分析しています。
  3. 金の含有量:
    約42gという圧倒的な金の質量は、それだけで「金地金」としての底値を担保します。金価格が上がれば底値が切り上がり、そこにプレミア(希少価値)が乗る。二重のエンジンを持っています。

3. 「ヴィクトリア朝」の栄華とストーリー

もちろん、19世紀の大英帝国絶頂期、ヴィクトリア女王の時代のコインも外せません。
産業革命を成し遂げ、世界の海を支配した「パクス・ブリタニカ」の象徴。

特に**「ウナ&ライオン(5ポンド金貨)」**や**「ゴシック・クラウン(銀貨)」**は、デザインの美しさが神がかっています。
彫刻師ウィリアム・ワイオンが生み出したこれらのコインは、貨幣という枠を超えて「美術品」として取引されています。

ストーリーがある資産は強い。
若き女王が老いたライオン(英国)を導く姿(ウナ&ライオン)は、いつの時代も人々の心を打ち、所有欲を刺激します。
需要が枯れることがない。これが資産防衛における最大の安心材料です。

4. タックス・ヘイブンとしての側面

英国には、コイン投資を後押しする税制上のメリットもあります(※英国内での話ですが、これが世界市場価格を支えています)。
英国では、法定通貨としての額面を持つ金貨(ブリタニア金貨やソブリン金貨など)の売却益は、キャピタルゲイン税(CGT)が免除される場合があります。

日本居住者には日本の税法が適用されますが、重要なのは「世界市場での需要が税制によって支えられている」という事実です。
イギリス人が自国のコインを買い支えるインセンティブがあるため、価格が暴落しにくいのです。

結論:ポートフォリオの「キング」を迎え入れよ

世界恐慌が起きようが、戦争が起きようが、英国王室が消滅しない限り、そのコインの輝きが失われることはありません。

あなたの資産ポートフォリオに、不動産や株といった「家臣」だけでなく、**「王(キング)」**を迎え入れてください。
たった一枚の5ギニー金貨が、あなたの資産全体の「格」を上げ、有事の際の最強の盾となります。

「どの年代の、どの王様の5ギニーが良いか?」
「鑑定機関(PCGS/NGC)の数字はどう見るべきか?」
といった具体的な選定基準については、個別のコンサルティングで、予算に合わせてアドバイスさせていただきます。

歴史を所有する喜び。そして未来への安心。
英国コインは、その両方を約束してくれる稀有な資産なのです。

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