【教育・金融】「大卒」という不良債権。教壇から見える、金融リテラシー皆無の若者たちと奨学金の罠

岸泰裕です。

私は普段、大学の教壇に立ち、学生たちにコーポレートファイナンス(企業財務)を教えています。
毎週、教室に座る20代の若者たちの顔を見渡すたびに、私は彼らの未来に対して深い同情と、そして拭い去れない絶望感を抱きます。

なぜなら、彼らは微積分や外国語の文法は知っていても、資本主義社会を生き抜くための最も重要なルール、「お金の教養(金融リテラシー)」を全く持っていないからです。

今回は、日本の大学が「知識の最高学府」から「情弱ビジネスの集金マシーン」へと成り下がった現実と、若者たちを待ち受ける「奨学金」という名の残酷な罠について語ります。

 

1. 奨学金という「人生最初の不良債権」

日本の大学生の約半数が「奨学金」を利用しています。
「奨学金」という美しい名前に騙されてはいけません。あれは実態としては、自己破産リスクを伴う「無担保の教育ローン(借金)」です。

ROI(投資対効果)の計算ができない悲劇

ファイナンスの基本は、投下した資本に対してどれだけのリターン(回収)が見込めるかを計算することです。
私立文系大学に4年間通うための学費と生活費、合計数百万円を借金で賄うとしましょう。
卒業後、彼らを待っているのは手取り20万円台の初任給と、毎月数万円に及ぶ奨学金の返済義務です。

借金を背負って手に入れた「大卒カード」が、果たしてその負債を上回るキャッシュフロー(給与増)を生み出しているのか。
冷酷な計算をすれば、大半の学生にとって、Fラン・中堅大学の学位は「投資対効果が完全にマイナスの不良債権」になっています。
金融リテラシーがないゆえに、彼らは18歳という若さで、回収見込みのない金融商品(大学の学位)にフルレバレッジで投資させられているのです。

2. 「複利」を知らない者は、一生搾取される

教壇で「複利の計算式」を黒板に書くと、多くの学生はポカンとしています。
アインシュタインが「人類最大の発明」と呼んだ複利の力を知らないということは、資本主義というゲームにおいて「ルールを知らずにポーカーのテーブルに座っている」のと同じです。

「金利」は払うものではなく、受け取るもの

金融リテラシーの低い人間は、ローンやリボ払いを使って「金利を払う側」に回ります。
そして、彼らが支払った金利は、どこへ行くのか。
資本の論理を理解し、株式や債券に投資している資本家(金利を受け取る側)のポケットに流れ込むのです。

大学のキャンパスは、将来の「優良な養分(搾取される側の労働者)」を育てるための牧場と化しています。
従順に講義のノートを写し、言われた通りの課題をこなし、借金を背負って社会に出て行く。
国も銀行も、彼らに「お金の本当のルール」を教えようとはしません。賢くなられては、搾取できなくなるからです。

3. 履歴書ではなく「貸借対照表(BS)」を磨け

就職活動の時期になると、学生たちは「自己分析」や「エントリーシートの書き方」に血道を上げます。
私から言わせれば、そんなものはAIに書かせれば10秒で終わる「どうでもいい作業」です。

彼らが本当に分析すべきは、企業の人事部からどう見られるかではなく、「自分自身のバランスシート(貸借対照表)」です。
奨学金という負債(Liability)を抱えた状態でスタートするなら、一刻も早くそれを上回る「稼ぐ力(無形資産)」と「投資による複利(有形資産)」を築かなければ、30代、40代になっても資本主義の底辺から抜け出せません。

結論:学校は「洗脳装置」である

「いい大学に入れば、いい会社に入って安定する」
この昭和の洗脳から、一刻も早く抜け出してください。
親がこの洗脳にかかっている場合、子供は確実に「貧困の連鎖」に巻き込まれます。

大学で学べる大半の知識は、今やインターネット上で無料で手に入ります。
数百万円の学費を払って得られるのは「モラトリアムの4年間」という娯楽だけです。

もしあなたが若いなら、あるいはあなたの子供がこれから進学するなら、その数百万円をインデックスファンドに突っ込み、残りの時間でプログラミングか英語、あるいは商売の基本(セールス)を現場で学ばせた方が、10年後の資産額は天と地ほど変わります。
学校の成績表(GPA)よりも、証券口座の利回り(ROI)を気にする。
それが、現代を生き抜くための最強の教養なのです。

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