岸泰裕です。
中東における米国とイランの戦闘状態。遠い異国の戦争だと高を括っている日本人は、数ヶ月後に自分の給与明細を見て青ざめることになるでしょう。
ホルムズ海峡の封鎖リスクは、エネルギー自給率が絶望的に低い日本にとって、文字通りの「急所」を突かれた状態です。原油価格の高騰は、電気代、物流費、そしてあらゆるモノの製造コストにダイレクトに跳ね返ります。
この未曾有のコストインフレに対し、日本の経営者たちはどう動くのか。
人的資本経営の専門家である私の目から見た、極めて冷酷な「企業の人事戦略」の現実を暴露します。
1. 限界を迎える「モノづくり日本」の末路
真っ先に血祭りにあげられるのは、電力を大量に消費する製造業です。
例えば、東京・大田区などに密集する、日本のサプライチェーンを底辺で支えてきた町工場。
彼らの利益率はただでさえ薄氷の上に成り立っています。そこに、今回の有事による電気代の倍増が襲いかかります。
「省エネ」は道徳ではなく「生存権」
本来であれば、平時のうちから空調の電力を自動制御するような省エネデバイスを導入し、固定費を極限まで削ぎ落としておくべきでした。
しかし、多くの経営者は「初期費用がもったいない」「今のままで回っているから」と、数百万の投資を渋ってきました。
そのツケが今、「倒産」という形で一気に回ってきています。
コストを価格に転嫁できない下請け企業は、エネルギー価格の高騰を前に、ただ座して死を待つしかありません。ビジネスにおける「備えの欠如」は、有事において容赦なく命取りになります。
2. 「人的資本」か「単なるコスト」か
企業がエネルギー高騰による赤字を埋めるため、最後に手をつける最大の固定費。それが「人件費」です。
私は人事のプロフェッショナルとして、経営会議で「誰の首を切るか」という残酷な議論が始まるのを何度も見てきました。
ここで、真の「人的資本経営」ができている企業と、そうでないブラック企業とで、対応が完全に二極化します。
三流企業は「人」を切り、一流企業は「無駄」を切る
三流の経営者は、電気代を払うために、一律の給与カットや、安易なリストラ(早期退職募集)に走ります。
社員を「価値を生み出す資本」ではなく、単なる「調整可能なコスト(費用)」としか見ていない証拠です。このような会社からは、優秀な人材から順に見切りをつけて逃げ出します。
一方、人的資本の価値を真に理解している企業は違います。
彼らは絶対にキーマンの待遇を下げません。むしろ、有事のインフレ手当を出してでも優秀な人材を囲い込みます。
その代わり、利益を生まない不採算部門を丸ごと売却し、時代遅れのオフィスを手放し、AIに代替可能な「調整業務しかできない中間管理職」をピンポイントで排除します。
3. 嵐の中で、あなたが取るべき個人戦略
中東の戦争は、あなたの会社の人事評価システムを「有事モード」に強制アップデートさせました。
会社が苦しい時、あなたは「どうしても残ってほしい人的資本」と見なされるか、それとも「真っ先に削りたい電力以下のコスト」と見なされるか。
残酷ですが、これが資本主義のリアルです。
- エネルギー依存度の低い産業へのシフト:物理的なモノを動かす産業は、地政学リスクの直撃を受けます。自身のキャリアを、知的財産やデジタル領域など「原油価格に依存しない」セクターへ意図的にズラしていく必要があります。
- 「コストセンター」からの脱出:会社の売上に直接貢献しない間接部門(経理、総務の定型業務など)にいるなら、今すぐ「利益を生む部門(プロフィットセンター)」への異動を申し出るか、AIにはできない高度な専門性を身につけてください。
- 外貨を稼ぐスキルの獲得:日本円が暴落し、国内企業が採用を絞る中、海外企業から直接ドルで仕事を受注できるスキル(英語+専門技術)は、この嵐を生き抜く最強の防空壕になります。
結論:会社はあなたを守らない。自分の市場価値で身を守れ
戦争が起きようが、原油が1バレル200ドルになろうが、あなたの人生は続きます。
「政府が補助金を出してくれないか」「会社がなんとかしてくれないか」という甘えは、今日限りで捨ててください。
経営者が電気代の請求書を見て頭を抱えている時、あなたの給料を守ってくれる組合など存在しません。
あなたを守るのは、他社でも、世界でも通用する「あなた自身の人的資本価値」だけです。
危機は常に、怠惰な者を市場から退場させ、準備をしていた者に莫大な富をもたらします。
ニュースを見て不安になる暇があるなら、今すぐ自分の履歴書(キャリアの棚卸し)と、貸借対照表(個人の財務状況)を更新してください。生き残るための戦争は、すでに始まっているのですから。
今回のように、世界情勢の変化が「個人の給与とキャリア」にどう直結するのか、人的資本の観点からさらに深掘りした分析記事も作成可能ですが、いかがいたしましょうか?