岸泰裕です。
「家賃を払うのはもったいない。持ち家は資産になる」
「夢のマイホームを手に入れて一人前」
この「持ち家信仰」は、高度経済成長期と人口増加時代に作られた、古い時代のプロパガンダです。
まだこの言葉を信じて、身の丈に合わない35年ローンを組もうとしているなら、直ちに考えを改めるべきです。
日本は今、有史以来の急激な人口減少社会に突入しています。
人が減れば、家は余ります。需給バランスが崩れれば、価格は下落します。
これは小学生でもわかる経済の原則です。
今回は、不動産業界や銀行が隠したがる「不動産の不都合な真実」を暴き、人口減少社会における「住まい」の戦略的思考について語ります。

1. 不動産が「負動産」に変わる時代
「不動産神話」は、土地の値段が上がり続けることを前提としていました。
しかし、これからの日本において、価値を維持できる不動産はごく一部の限られたエリア(都心の一等地や駅直結のタワーマンションなど)だけです。
郊外・地方の「スラム化」リスク
人口減少は、郊外や地方から始まります。
かつてニュータウンと呼ばれた街が高齢化し、空き家が増え、商店街がシャッター通りになり、治安が悪化する。
そうなれば、買い手がつかなくなり、売るに売れない、貸すに貸せない「負動産」と化します。固定資産税と維持費だけが垂れ流される、金食い虫になるのです。
35年ローンという「現代の奴隷契約」
35年という期間は、あまりにも長すぎます。
35年後、あなたは何歳ですか? その時、会社はありますか? 健康で働けていますか? 日本の経済はどうなっていますか?
これだけ不確実な未来に対して、数千万円の借金を背負い、一つの場所に縛り付けられることのリスクを、多くの人は過小評価しています。
2. 「賃貸」こそが最強のリスクヘッジである
これからの時代、「所有」はリスクであり、「利用」こそが賢い選択です。
賃貸は「掛け捨て」ではなく、変化に対応するための「自由を買うためのコスト」です。
ライフステージの変化に即応できる「機動力」
独身、結婚、子育て、子供の独立、老後。ライフステージによって必要な家の広さや場所は変わります。
また、転勤、転職、親の介護、近隣トラブル、災害リスクなど、予期せぬ変化も起こります。
賃貸なら、これらの変化に合わせて、最適な場所に、最適なコストで住み替えることができます。この「機動力」こそが、不確実な時代の最大の武器です。
メンテナンスフリーの「気楽さ」
持ち家は、設備の故障、外壁塗装、修繕積立金など、購入後も多額の維持費がかかります。
賃貸なら、エアコンが壊れても給湯器が壊れても、大家さんが直してくれます。この気楽さと資金計画の立てやすさは、大きなメリットです。
3. それでも家を買うなら「投資家目線」で
私は持ち家を全否定するわけではありません。
ただし、買うなら「夢」や「感情」で買うのではなく、冷徹な「投資家目線」で買うべきです。
「いつでも売れる・貸せる」物件しか買わない
基準はシンプルです。「自分が住まなくなった時、すぐに買い手がつくか? 十分な賃料で貸せるか?」
この問いにYESと即答できない物件は、買ってはいけません。
資産価値とは「換金性の高さ」のことです。流動性の低い不動産は、資産ではなくリスクの塊です。
結論:家に縛られるな、自由に生きろ
家は、人生の目的ではありません。豊かな人生を送るための「器(うつわ)」に過ぎません。
その器を手に入れるために、人生の自由度を犠牲にし、将来の可能性を狭めてしまうのは本末転倒です。
人口減少社会において、身軽であることは最強の生存戦略です。
「持ち家信仰」という呪縛から解き放たれ、その時々の自分にとって最適な住まいを、戦略的に選択していく。
それが、賢明な大人の生き方です。